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「オフィス回帰」は最適解か?
2025-06-20
2025年、オフィスに人が戻り始めている。
アマゾンやテスラをはじめとするグローバル企業が出社義務を再導入し、
米国ではトランプ大統領が政権復帰初日に連邦政府職員に対して
対面勤務を促すなど、「オフィス回帰」の潮流が報じられています。
日本においても、出社率の上昇やオフィス空室率の低下といった指標から
その動きが見え始めています。
アクセンチュアジャパンが2025年6月から全社員に週5日の出社を
義務づける方針を打ち出したというニュースはネット上でも話題になりました。
しかし、こうした「オフィス回帰」は本当に最適解なのでしょうか?
■ 一律の出社命令がもたらすリスク
「出社強化」については、対面での連携強化や人材育成効果を期待する声がある一方で、
副作用が懸念されています。
たとえば、在宅勤務を望む社員にとって、強制的な出社は働き方の自由を
奪われる体験となり、エンゲージメントの低下や離職の増加につながる恐れがあります。
米国スタンフォード大学の研究では、ハイブリッド勤務を導入した企業では
生産性に大きな変化はなかったものの、従業員の定着率や満足度は向上したと
報告されています。
勤務形態の画一化は、逆に高スキル人材の流出やイノベーションの
阻害要因となる可能性があるのです。
■ 勤務形態の「4タイプ別アプローチ」
当コラムでは、日経新聞で2025年6月16日~18日に「経済教室」コーナーで
3回にわけて掲載された各執筆者の「オフィス回帰」に関する論考をもとに、
従業員の働き方を「業務特性」と「組織風土」という2軸で分類し、
最適な勤務形態のあり方を以下のように整理しました。
タイプ 最適な勤務形態 教育・制度のポイント
マニュアルワーク × 高信頼型 リモート主体 ITスキル研修、成果主義評価制度の整備
マニュアルワーク × 統制型 出社ベース 進捗管理研修、上司によるマネジメント強化
ナレッジワーク × 高信頼型 ハイブリッド+選択制 ナレッジ共有型チームビルディング研修
ナレッジワーク × 統制型 ハイブリッド+管理判断 ミドル層のファシリテーション教育、信頼関係醸成
(注記/用語解説)
<業務特性>
「マニュアルワーク」
手順が明確に決まっており、標準化・再現性の高い業務を指します。
いわゆるルーティンワークや定型業務が中心で、指示に基づいて作業を進めることが多いです。
「ナレッジワーク」
知識や経験、創造的思考を活用して、課題解決や新たな価値創造に取り組む業務です。
業務の正解が一つではなく、主体的な判断や企画が求められます。
<組織風土>
「高信頼型」
組織が従業員に対して「信頼に基づく裁量のある働き方」を前提として運営されている風土。
上司が部下の行動を細かく管理するのではなく、自律的な判断・行動を尊重する。
「統制型」
従業員の行動を一定のルールや出社義務によって「管理・統制」することで組織運営を図る風土。
上司が指示・管理し、進捗を可視化することを重視。
重要なのは、一律のルールではなく、自社の業務と人材特性に即した“柔軟な運用設計”です。
リモートワークの可能性を引き出す鍵は「ITスキル」と「信頼」。
対面を価値ある時間とするためには、「協働」と「創発」を促すオフィス文化が必要です。
■ 教育担当者が果たすべき役割
このような変化のなかで、教育担当者の果たすべき役割もまた大きく変わってきています。
かつての集合研修中心の時代から、今は「どこでも学べる」「誰でもリードできる」
分散型学習環境の構築が求められています。
特に、管理職層への信頼構築型マネジメント研修や、ハイブリッド勤務に適応した
コミュニケーション研修は、多くの企業にとって人材育成の重要課題です。
「オフィス回帰か、在宅か」の単純な二元論ではなく、業務と人材に最適化した学びの仕組みが
これから一層求められると考えます。
■ 最後に:オフィスは「集める場」から「集まる場」へ
これからのオフィスは、単に指示を受ける場ではなく、共創し、関係性を深める場へと
進化していく必要があります。
その進化を支えるのは、柔軟な働き方を可能にする制度と、信頼に基づく学びの文化です。
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<参考情報>
日本経済新聞 2025年6月16日~18日記事
▼オフィス回帰は進むか(上) 在宅勤務の継続 信頼がカギ
▼オフィス回帰は進むか(中) 居住構造がテレワーク抑制
▼オフィス回帰は進むか(下) 自主的に集まる場の形成を
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