投稿記事
『制度改正を“人材育成のチャンス”に変える』
2026-05-26
~女性活躍・在職老齢年金の見直しが企業に問いかけるもの~
2026年春、企業の「人を育てる」取り組みに関わる制度改正が始まりました。
一つは、女性活躍推進法の改正です。
改正により、常時雇用する労働者101人以上の企業では、「男女間賃金差異」と
「女性管理職比率」の公表義務が拡大されました。
もう一つは、在職老齢年金制度の見直しです。
働きながら老齢厚生年金を受け取る方について、賃金と老齢厚生年金の合計額に応じて
年金が調整され始める基準額が、月51万円から65万円へ引き上げられました。
一見すると、女性活躍とシニア就労という別々のテーマに見えます。
けれども、人事・教育担当者の視点で見ると、どちらも同じ問いを投げかけています。
「年齢や性別にかかわらず、一人ひとりが力を発揮し続けられる職場になっているか」
制度改正は、単なる対応業務ではありません。
自社の人材育成やキャリア支援を見直す、前向きなきっかけでもあります。
■ 数字の公表は、育成を見直すきっかけ
女性活躍推進法の改正によって、企業はこれまで以上に、自社の状況を数字で示すことになります。
ただ、大切なのは、数字を公表することだけではありません。
その数字の背景にある、採用、配置、育成、評価、登用の流れを見つめ直すことです。
男女間賃金格差は少しずつ改善しているものの、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、
男性を100とした場合の女性の賃金は76.6にとどまっています。
また、令和6年度雇用均等基本調査では、課長相当職以上の女性管理職割合は13.1%、部長相当職では8.7%でした。
この数字は、企業を責めるためのものではありません。
「どこで成長の機会が偏っているのか」「誰が挑戦の手前で立ち止まっているのか」を
見つけるための手がかりです。
管理職候補となる女性に十分な経験機会があるか
ライフイベント後もキャリアを続けやすいか。
評価や登用が、長時間労働を前提にしていないか。
こうした問いを持つことで、制度対応は人材育成の見直しへとつながります。
■ シニア活躍は、経験を組織の力に変えること
在職老齢年金制度の見直しは、シニア人材の活躍を考えるうえでも大切な節目です。
これまで、「働きすぎると年金が減ってしまう」という印象が、働く意欲のブレーキになることもありました。
今回の見直しにより、経験豊かな人材が、より前向きに働き続けやすくなります。
ここで企業に求められるのは、単に雇用を延長することではありません。
長年の経験や知恵を、若手・中堅の育成や、組織の知見として活かしていくことです。
たとえば、メンタリング、顧客対応のノウハウ継承、プロジェクトレビュー、暗黙知の見える化など、
シニア人材だからこそ担える役割があります。
さらに生成AIを活用すれば、経験知を教材やナレッジとして残すことも、より身近になります。
■ これからの人材育成は「全員型」へ
女性活躍とシニア活躍に共通しているのは、これまでの一律のキャリアモデルだけでは、
人を活かしきれなくなっているということです。
育児や介護との両立、ミドル期のキャリア再設計、シニア期の再活躍、そしてAIによる仕事の変化。
働き方も、学び方も、一人ひとり違ってきています。
だからこそ、これからの人材育成は、特定の階層や一部の選抜者だけに向けたものではなく、
誰もが自分の現在地を確認し、次の役割に向けて学び直せる「全員型HRD」へと
進化していく必要があります。
そのためにまず取り組みたいのは、数字を“開示用データ”で終わらせず、育成課題を見つける材料にすること。
そして、若手だけでなく、女性、ミドル、シニア、管理職を含めた全世代にキャリア対話を広げること。
さらに、研修を受けて終わりではなく、学びを実務で使い、振り返り、
次の成長につなげる仕組みを整えることではないでしょうか。
■ 制度改正を、組織が育ち合うきっかけに
今回の制度改正は、企業にとって対応すべきルールであると同時に、組織の育ち方を見直す良い機会です。
女性が挑戦しやすい職場づくり。
シニアの経験が次世代に受け継がれる仕組み。
ミドル層がもう一度自分の強みを見つめ直せる学び直し。
こうした取り組みは、社員一人ひとりの安心感と、企業の成長力の両方を支えていきます。
また、こうした取り組みを現場に根づかせるには、制度、人材育成、対話、デジタル活用を
ばらばらに考えるのではなく、一体で設計していくことが大切です。
株式会社フィープラーニングは、HRDとAIソリューションを組み合わせ、
企業の「人が育ち合う仕組みづくり」を支援しています。
キャリア対話、リスキリング、管理職育成、世代間コミュニケーション、
生成AI活用支援を通じて、制度対応を前向きな組織づくりへとつなげていきます。
制度改正を、人材育成のチャンスへ。
そして、誰もが自分らしく力を発揮し続けられる職場へ。
これからの働き方と学び方を、今こそやわらかく、力強くリニューアルしていきましょう。
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【参考・引用元】
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「令和6年度 雇用均等基本調査」
厚生労働省・政府広報オンライン「在職老齢年金制度の見直し」関連資料
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