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<<メタバース基礎講座 第3回 >>

2022-09-26
第3回では、「メタバースの市場規模」「世界をどう変えるのか」「普及のための課題」について考えてみたいと思います。
Ⅰ.メタバースの市場規模
Ⅱ.メタバースは世界をどう変えるのか
Ⅲ.メタバース普及のための課題

■Ⅰ.メタバースの市場規模
各社から公開された2030年頃のメタバースのグローバル市場規模は、①10兆ドル規模、②1~2兆ドル規模、③1兆ドル未満の3つに類型化できます。



2030年頃のメタバースのグローバル市場規模は3つに類型化できます
①10兆ドル内外としているのは金融系機関で、メタバースを、ポストインターネット(Web3.0として言及されるコンセプト)の中核的な場として位置づけています。例えばCitiの場合、メタバースへのアクセスも、スマホ、タブレット、PCを含むマルチデバイス対応のいわゆる「視聴型」かつ没入感を重視しないもの中心に考えていて、アクセス人口が10億人規模となることを想定しています。

②1~2兆ドル規模は、多くの市場調査機関や投資機関が示しているものです。メタバースはXRデバイスを中心にアクセスするものであるととらえ、WEB3.0の中核技術である、ブロックチェーン技術を活用したオープンメタバースやクリエイターエコノミーなどへの期待を強調しています。

③1兆ドル未満は一部の市場調査機関によるもので、XR市場として従来予測されてきた値とほぼ類似した数字をメタバース市場として公表しています。XRデバイスの観点で考えています。

※XRデバイスとは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚させる技術を実現するための機器です。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術は、いずれもXRに含まれます。


■Ⅱ.メタバースは世界をどう変えるのか
①コロナ禍でリモートワークが普及し、オンラインでの会議やミーティングなどが日常的に行われるようになりましたが、これも映像と音声で行われるものであり、完全なコミュニケーションとはいえないでしょう。これがメタバースを活用すれば、アバターが出社して、そこで仕事ができるようになります。全てがメタバース内で完結できるようになれば、オフィスを構える必要がなくなりますので、家賃や光熱費などの固定費を削減できるのです。

②工場など、スタッフが現場に居なければ成り立たないビジネスも技術が進めば、メタバースで設計などを行い、出力はリモートで3Dプリンターなどから行い、工場などの場所も不要になる可能性があります。

③メタバースは「時空を超えられる」点が大きなメリットで、旅行業界であれば、今でもVRで世界各国を旅行する体験はできますが、メタバースを構築すれば、世界のどこでも好きな場所に旅行することが可能となります。

④「五感をデジタルに持っていく」ことが実現できたなら、ほとんどのサービスがデジタルに置き換えられる可能性があります。


■Ⅲ.メタバース普及のための課題
①オンラインゲームなどでも言われるデメリットですが、依存症には注意が必要です。特に子供のうちは自分自身で止めるタイミングをコントロールするのが難しいことがあるため、周りで使い方などを適切にサポートしていくことが求められます。

②現実世界では、職場の仲間や友人たちとオンライン上で集合し、コミュニケーションをとるような場面は、珍しくないでしょう。ただ、そういった時間が長くなるほど、現実世界でのコミュニケーションが希薄になっていく場合があり、注意が必要です。

③HMDと通常のメガネの共存が難しいという課題があります。日常的な利用に耐えるHMDはなく、現在入手可能なHMDのほとんどはメガネを必要とする人の視力では使えません。世の中には様々な顔の形や視力の人がいて、その全てにどう対応していくのか、今後も試行錯誤が続くでしょう。またこのことが、メタバースを目指す企業がHMDを使わない体験を提供しようとしている理由でもあります。

④インターネットの接続性と各種技術の飛躍的進歩が不可欠であり、メタバースの実現には最低でもあと5~10年はかかる可能性があります。

⑤メタバース内のハラスメントが実際に発生をしています。勿論メタバースの世界から抜け出ると、物理的な危害を避けることは可能ですが、仮想世界の出来事がリアルの世界の自分に影響を与える可能性があります。(仮想現実が脳を騙す)

⑥デジタルクローンが発生する課題。対象となる人物の「写真や動画」「音声」「SNSの文章」などをインプットすると、人工知能技術によって、その人の容姿やしゃべり方、思考パターンなどを再現可能な、デジタルクローンを作ることが可能となっています。その人らしさは、インプット量が大きくなるほどに増加しますが、こうして出来上がったデジタルクローンは、本人と同一人物であっても、別の生き物がメタバースの世界の中に生まれることを示唆しています。このデジタルクローンをどの様に扱うのかは、非常に難しい問題となります。彼岸や命日、あるいは何かの相談に乗ってもらいたいときには、メタバースにログインして故人のクローンに会いに行く。22世紀にはそんな行為が当たり前になっているかもしれません。


第4回では、「先行事例」について紹介をしたいと思います。不明点、ご指摘等有れば、是非お知らせ下さい。