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<<もしも、映画「トップガン マーヴェリック」の主役戦闘機がF-35だったら、映画はヒットしたのか>>

2022-10-24
■皆さんは、ヒット映画「トップガン マーヴェリック」を、もうご覧になりましたか?相変わらずトム・クルーズはカッコ良いし、映画の中で行われるドッグファイト(戦闘機の空中戦)もカッコ良いですよね。今日は主役のトム・クルーズが搭乗した戦闘機が、F/A-18Eスーパーホーネットではなく、F-35だったら映画はヒットしたのかというお話です。少しマニアックな話になりますが、暫しお付き合い下さい。

映画「トップガン マーヴェリック」で、トム・クルーズが搭乗した戦闘機は、現在のアメリカ海軍の主力戦闘機である
ボーイングF/A-18Eスーパーホーネット戦闘攻撃機で、原子力航空母艦に約50機が搭載されています。しかし就役開始が
2001年であり、決して最新鋭戦闘機ではありません。(現在の最新鋭戦闘機はF-35)

機種記号F/A-18Eのうち、F/AのFはファイターで戦闘機、Aはアタッカーで攻撃機を示し、戦闘機と攻撃機の二役をこなせるマルチロール機です。搭載できる機数が限られる航空母艦の場合、空中戦や防空任務の場合には戦闘機として 、敵地や敵の軍艦を攻撃する任務では攻撃機として使えるので、マルチロール機はとても重宝な飛行機なのです。

因みに、第5空母打撃群 (Carrier Strike Group 5, CSG-5) の旗艦で、 横須賀を母港とする航空母艦ロナルド・レーガンにも、当然F/A-18E/Fが搭載されています。Eは1人乗りタイプのF/A-18Eを示し、映画だとマーヴェリックとルースター、ハングマンが乗ってる機体で、Fは2人乗りのF/A-18F型、フェニックス+ボブ組とペイバック+ファンボーイ組の機体です。このF/A-18E/Fスーパーホーネットは第4.5世代戦闘機と呼ばれています。

同機は、「トップガン マーヴェリック」の中でおこなわれたドッグファイトのような目視内戦闘を想定した戦闘機です。
目視内戦闘とは、パイロット自身が相手を直接目視できる距離で行われる戦闘で、WEZ(兵器発射可能領域)という
ミサイルや機関砲の発射できる位置を相手より如何に早く占位するかが必要となります。その為には、機体の運動性能(機体の加速力、上昇力、機動性)とパイロットの操縦技量が決定的に重要になります。

映画公式サイト:
https://topgunmovie.jp/theater/
F/A-18Eスーパーホーネット戦闘攻撃機:

https://ja.wikipedia.org/wiki/F/A-18_(航空機)

■F-35は、第5世代戦闘機(5th generation jet fighter)と呼ばれていて、戦闘機の概念を大きく変えています。
開発製造主体であるロッキード・マーチン社は、同機のことを「ゲームチェンジャー(戦場の状況やルールを
急激に変えてしまう戦闘機)」と呼んでいます。

第5世代戦闘機には、敵よりも先に敵機を発見し、先に(複数の敵機を)撃墜するという条件を満たすための、「高度な
火器管制装置」と「ステルス性」が求められています。つまり、ステルス性能により敵に発見される前に、全ての状況
判断をレーダーや光学センサなどの電子機器に頼り、ミサイルで先制攻撃を行なう戦闘機なのです。機体の加速力、
上昇力、機動性等で優位に立つのではなく、探知能力や情報処理能力で優位に立ち、遠距離射撃で敵機を撃墜、制圧する戦闘機なのです。

更に高度なネットワーク型情報通信機能を搭載するF-35は、僚機とデータリンクで常時繋がっていて、情報収集能力が高く、6機のF-35で4.5世代の戦闘機14機以上の戦闘空中哨戒活動(CAP)をすることが可能になっています。

F-35:
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)
出典:
https://car.motor-fan.jp/article/10015306

■「トップガン マーヴェリック」で使用された戦闘機が、目視内戦闘を得意とするF/A-18Eではなく、目視外戦闘を
得意とするF-35だったら、手に汗握るドッグファイトが全く無い、非常につまらない映画になったかもしれませんね。
もっとも一定のレベルの操縦技量が在れば誰でも操縦できるF-35であれば、トップガン(アメリカ海軍戦闘機兵器学校)の存在そのものが必要なくなるかもしれませんね

テクノロジーの進化が、あらゆる領域で、ゲームチェンジを引き起こしているんですね。