投稿記事
<<いま注目される「人的資本経営」の着眼ポイントとは?>>
2022-10-31
■最近の経営テーマとして注目されているのが、「人的資本経営」です。
ちなみに、経産省の定義によると、人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方、
とされています。先日、臨時国会の所信表明で、岸田首相はリスキリング関連に5年で1兆円を投じると表明しました。また、大手企業を中心にジョブ型雇用の潮流も顕著です。人的資本の強化・活用が官民で進んでいることを感じます。
こうした流れを受け、日経ビジネスでは、2022年10月24日号、10月31日号の連続で、人的資本に関する特集を組んでいます。10月31日号では、伊藤忠商事が2013年に「朝型勤務」を導入したところ、2021年には労働生産性が2倍超も改善した事例を紹介しています。
ちなみに、経産省の定義によると、人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方、
とされています。先日、臨時国会の所信表明で、岸田首相はリスキリング関連に5年で1兆円を投じると表明しました。また、大手企業を中心にジョブ型雇用の潮流も顕著です。人的資本の強化・活用が官民で進んでいることを感じます。
こうした流れを受け、日経ビジネスでは、2022年10月24日号、10月31日号の連続で、人的資本に関する特集を組んでいます。10月31日号では、伊藤忠商事が2013年に「朝型勤務」を導入したところ、2021年には労働生産性が2倍超も改善した事例を紹介しています。
(注)同社の朝型勤務制度・・・
午前5時から8時までに就業をスタートする代わりに、午後8時以降の残業を原則禁止する制度
このように、「人的資本」がいま注目される背景には、経営資源である、ヒト・モノ・カネの中で、ヒトの可視化が遅れていたためです。この数年、従業員の勤務状況や心理状況を可視化するツールが数多く出てきて、そのデータを分析することで労働生産性を上げることに成功する企業が現れています。あるいは伊藤忠商事のように、勤務時間を大幅に見直すことで社員のやる気を高め、労働生産性を大幅に改善した事例もあります。
2022年2月に内閣官房が立ち上げた「非財務情報可視化研究会」でも、企業価値の向上に役立つ指標として「人的資本」情報が重要との指針が8月にまとめられました。
そして、政府は上場企業に対して、人的資本など非財務情報の開示義務化(有価証券報告書に記載)を検討しており、早ければ2023年3月期から適用される可能性もあり、上場企業における人的資本に関する情報の可視化は待ったなしの状況となっています。では、政府が掲げた「人的資本経営における開示情報」とは具体的には何でしょうか?以下にその19項目をご紹介します。
<育成>
1.リーダーシップ
2.育成
3.スキル経験
<エンゲージメント>
4.エンゲージメント
<流動性>
5.採用
6.維持
7.サクセション(継承)
<ダイバーシティ>
8.ダイバーシティ
9.非差別
10. 育児休暇
<健康・安全>
11. 安全
12.身体的健康
13.精神的健康
<労働慣行>
14.労働慣行
15.強制労働
16.賃金の公平性
17.福利厚生
18.組合との関係
<コンプライアンス・倫理>
19.コンプライアンス・倫理
今後、上場企業が上記項目について、どのように取り組んでいるか投資家が注目するわけですが、ポイントは、人的資本に関してどこ(項目)を強化することで企業価値を向上していこうとしているのかという“変革のストーリー”をわかりやすく提示できるかです。ただ単純に、決められた項目の強化案を示すだけでは投資家に響きません。
先に上げた伊藤忠の場合、「朝型勤務」を導入することで、夕方以降に家族と過ごす時間が増え、社内出生率も高まり、女性社員は「安心して働ける」という安心感から労働生産性も向上したというストーリーで対外的に情報発信していると見られます。
<まとめ>
今後、上場企業が続々と「わが社の人的資本経営」をアピールしてくると予想されますが、上記の開示項目のどの項目を向上することで、企業価値を向上させようとしているのか、そのストーリーに着目してみてください。分かりやすく説得力のあるストーリーに投資家は魅力を感じるでしょう。
<関連情報>
▼日経ビジネス 2022年10月24日号 第1特集『可視化経営 ~人的資本もリスクも掴む~』
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00193/
▼『人的資本可視化指針(案)』 内閣官房非財務情報可視化研究会(2022年6月20日資料)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_sx/pdf/007_05_00.pdf
午前5時から8時までに就業をスタートする代わりに、午後8時以降の残業を原則禁止する制度
このように、「人的資本」がいま注目される背景には、経営資源である、ヒト・モノ・カネの中で、ヒトの可視化が遅れていたためです。この数年、従業員の勤務状況や心理状況を可視化するツールが数多く出てきて、そのデータを分析することで労働生産性を上げることに成功する企業が現れています。あるいは伊藤忠商事のように、勤務時間を大幅に見直すことで社員のやる気を高め、労働生産性を大幅に改善した事例もあります。
2022年2月に内閣官房が立ち上げた「非財務情報可視化研究会」でも、企業価値の向上に役立つ指標として「人的資本」情報が重要との指針が8月にまとめられました。
そして、政府は上場企業に対して、人的資本など非財務情報の開示義務化(有価証券報告書に記載)を検討しており、早ければ2023年3月期から適用される可能性もあり、上場企業における人的資本に関する情報の可視化は待ったなしの状況となっています。では、政府が掲げた「人的資本経営における開示情報」とは具体的には何でしょうか?以下にその19項目をご紹介します。
<育成>
1.リーダーシップ
2.育成
3.スキル経験
<エンゲージメント>
4.エンゲージメント
<流動性>
5.採用
6.維持
7.サクセション(継承)
<ダイバーシティ>
8.ダイバーシティ
9.非差別
10. 育児休暇
<健康・安全>
11. 安全
12.身体的健康
13.精神的健康
<労働慣行>
14.労働慣行
15.強制労働
16.賃金の公平性
17.福利厚生
18.組合との関係
<コンプライアンス・倫理>
19.コンプライアンス・倫理
今後、上場企業が上記項目について、どのように取り組んでいるか投資家が注目するわけですが、ポイントは、人的資本に関してどこ(項目)を強化することで企業価値を向上していこうとしているのかという“変革のストーリー”をわかりやすく提示できるかです。ただ単純に、決められた項目の強化案を示すだけでは投資家に響きません。
先に上げた伊藤忠の場合、「朝型勤務」を導入することで、夕方以降に家族と過ごす時間が増え、社内出生率も高まり、女性社員は「安心して働ける」という安心感から労働生産性も向上したというストーリーで対外的に情報発信していると見られます。
<まとめ>
今後、上場企業が続々と「わが社の人的資本経営」をアピールしてくると予想されますが、上記の開示項目のどの項目を向上することで、企業価値を向上させようとしているのか、そのストーリーに着目してみてください。分かりやすく説得力のあるストーリーに投資家は魅力を感じるでしょう。
<関連情報>
▼日経ビジネス 2022年10月24日号 第1特集『可視化経営 ~人的資本もリスクも掴む~』
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/mokuji/00193/
▼『人的資本可視化指針(案)』 内閣官房非財務情報可視化研究会(2022年6月20日資料)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/sustainable_sx/pdf/007_05_00.pdf
