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<<メタバース基礎講座 第4回 >>
2022-11-06
第4回では、「メタバースの先行事例」をご紹介したいと思います。
■メタバースというとなんといっても、Meta社が提供する「Horizon Workrooms」やMicrosoft社が提供する「Mesh for Microsoft Teams」等の会議システムを思い浮かべると思いますが、どちらのシステムも、基本的にはHMD(Head Mounted Display)を装着することが前提となるシステムです。その為、「所謂3D酔いやVR酔いが発生する」「通常のメガネとの共存が難しい」という課題があります。
今回は、「HMD」の装着が不要な、「ホログラム」を利用した会議システムをご紹介します。
■「ホログラム」とは、レーザーを使って立体画像を記録したモノを指します。ギリシア語の「完全」という意味の「Holos」と「情報」という意味の「Gram」を合成して作られた言葉です。映画「スター・ウォーズ」には、ロボットのR2-D2が空間にレイア姫の立体的なホログラムを投射するシーンがありました。このシーンから、立体的なホログラムが「レイア姫のホログラム」と呼ばれるようになり、これまで多くの研究者が実現に向けて取り組んできました。
■カナダのスタートアップARHT Mediaは3D映像の生成ツールやカメラと高精細プロジェクターなどを使い、疑似的にホログラムをつくる技術を所有しています。ニューヨークとロサンゼルスのスタジオのほか、米シェアオフィス大手のウィーワークと契約し世界100カ所に拠点を確保、利用者は拠点を使いメタバース会議を開催できます。近く東京都内にも拠点ができます。
このシステムを使い、スイスの製薬大手ノバルティスが後援した2020年のシンポジウムではオーストラリア、ギリシャ、ドイツの3拠点から3D映像でバーチャル上に医師を映し、シンポジウムを配信しました。ARHTの技術は中継を見ているような臨場感が出るため、2次元の顔が並ぶ通常のビデオ会議に比べて視聴数が4~5倍も増えたということです。
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■スイスのスタートアップのインバースはパソコン1台で簡単にメタバース上で会議ができるソフトを開発しました。パソコンのカメラで撮影した自身の映像を基に、自動的に3Dの分身を仮想空間に作り出します。例えば、上半身だけの分身を作り、仮想空間の会場で、身振り手振りで伝えられまする。多数の分身が一堂に会することができるため、参加人数が多い発表会では2次元の顔が並ぶ既存のビデオ会議より意図が伝わりやすいと言えます。
■顔をみながらリモートでコミュニケーションをとる手段としては、現在はZoom、Teams、Webex等の会議システムが主流ですが、相手の細かい表情の変化に気づかなかったり、話す間合いが取り難いと感じる人が多くいます。ホログラムで互いの立体映像を見ながら会話することで、物理的な制約を受けずに、対面に近いリアリティのあるやり取りが可能になります。HMDに替わるホログラム技術を活用することにより、よりリアルに近い会議が可能となる日がすぐ近くに来ているんですね。
第5回でも、「メタバースの先行事例」をご紹介したいと思います。
