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<<サッカーW杯で鍛えられる先端技術>>

2022-11-28
サッカーW杯が始まり、日本代表の活躍に注目が集まっています。初戦のドイツ戦勝利に沸き立ったかと思うと、昨日(12/27)のコスタリカ戦の敗戦で肩を落とし、一次リーグ最終戦(スペイン戦)の行方に俄然、関心が高まっています。
今回は、W杯で活用される注目のハイテクをご紹介します。世界35億人が視聴すると言われる世界最大級のイベントだけあってW杯で採用される新技術は最先端のものばかりです。

今後、W杯で鍛えられた技術が他の業界以外に活用される可能性は高いので、下記の事例を参考に、どの技術がどの業界で活用されそうか考えてみてはいかがでしょうか?

■ハイテク・その1 AI予想
すでに恒例となりましたが、AI(人工知能)による優勝チームの予想技術。過去の戦績や選手の能力など、膨大なデータを分析してはじき出す勝率予想技術。過去のW杯でもずばり的中したAIがありました。

カタールW杯開催前に、AIによる優勝チームの予想をおこなったデータサービス「Opta」によると、優勝確率が高い順は次の通りに。

No.1ブラジル(16.79%)
No.2アルゼンチン(13.29%)
No.3フランス(11.77%)
No.4イングランド(9.08%)
No.5スペイン(8.65%)
No.6ドイツ(7.31%)

なんと、日本が属する一次リーグE組に優勝予想チームの5位と6位が入っています。ちなみに、同E組で決勝トーナメントに進む確率はスペインが84.5%、ドイツが80.4%、日本は25.4%、コスタリカは9.8%となっています。ドイツと日本の勝率にはかなり差がありますね。この予想通りになると、日本代表は1次リーグ敗退となります。果たして、AIの予想通りとなるのか?予測型AIの実力を測る機会ともなります。

予測型AI技術は、競馬等のギャンブルの世界ですでに活用されています。今後、より精度が高くなっていくと、ギャンブラーの購買行動にも影響を与えますね。AIの予想を信じて安パイでいくか、それともAIの予想にあえて逆らて一発逆転を狙うか?!

■ハイテク・その2 コネクテッド技術
今大会で導入している「半自動オフサイド判定技術」は、カメラとセンサーを使って選手やボールの位置関係やシュートした時間などのデータを基に、半自動的にオフサイドを見分けるというもの。スタジアムには選手の手足やボールの位置を認識するためのトラッキングカメラを12台設置。ボールにも「慣性計測センサー」という仕掛けがあります。
このセンサーでボールの状態を検知し、データをビデオ判定のオペレーションルームに送信しています。この2つの仕組みを組合せて、データをAIに分析させることで自動的にオフサイドを判定。通知を受けたオペレーターが検証するシステムが「半自動オフサイド判定技術」。

検証にかかる時間は数秒程度という。今大会では、主審・副審の他に「ビデオアシスタントレフェリー」(VAR)という映像を基に判断を下す審判がおり、同技術を使いながらオフサイドの判断などを行っています。最終判断は、人間が映像などを確認したうえで下します。

私はこのシステムを知るまでは、動画の画像処理技術だけで判定していると思っていましたが、ボールからもデータが送信されていたとは!ちなみに、この技術は勝敗にも影響を与えました。日本対ドイツ戦でもVARの判定によりドイツのゴールが取り消しになりました。

日本では、大相撲で「物言い」がつくと、ビデオ判定が行われますが、将来は、まわしにセンサーが取り付けられ、きわどい勝負もセンサーからのデータを元にしたAI判定が導入されるかも?!

■ハイテク・その3 負荷分散型ライブ配信システム
通信ネットワーク技術が進化し、スポーツ観戦の在り方が変わってきています。日本で仕掛けたのが、サイバーエージェントのネットテレビ「ABEMA(アベマ)」。全試合無料ライブ中継を売りにファンを取り込み、日本対ドイツ戦の11月23日には1000万人超の視聴者を集めました。好みのアングルの映像を選べるなど、スポーツ観戦の楽しみ方がネット配信で変化しています。

技術面でいうと、アベマはW杯に備え、サーバー負荷の増大に伴う映像遅延やシステム障害などへの対策を念入りに実施しました。米アカマイ・テクノロジーズの配信システムを活用し、映像を複数のサーバーに複製してアクセスを分散。実際の試合と配信の時間差も約3秒程度とテレビ放送並みを実現。これまで、リアルタイム配信を売りとしていたテレビ局に対し、IT企業もネット観戦でこれをほぼ実現。様々なデータをWEBサイトで参照しながら、多アングルで観戦できるネット観戦にいずれ多くの視聴者が移っていくのでしょうか?

(最後に)
今回は、「AI予想技術」「IoT×AI型判定システム」「負荷分散型リアルタイム配信システム」という3つの技術をご紹介しましたが、プロスポーツ業界で磨かれた技術が今後、他の業界・業種で活用されていくはずです。ぜひ、ご自身の担当業界・業種での活用可能性を考えてみましょう。

<関連情報>
▼日本経済新聞  2022年11月26日
W杯観戦、ネットで変革 好みのアングル/端末も多様 日本戦の23日、アベマ視聴1000万人
出典: 
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66315230W2A121C2EA5000