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<<米国防総省がついにAIが操縦する戦闘機の飛行に成功>>

2023-03-28
2023年2月、米国防総省はAIが操縦する戦闘機の飛行に成功したと発表をしました。AI戦闘機が実用化されると、パイロットに求められる能力が変わるとともに、次世代の航空戦が劇的に変化すると予想されます。

米国防総省のDARPA(米国防高等研究開発局)によると、F-16戦闘機に「アインシュタイン・ボックス」と呼ばれるAIを搭載、4つのAIアルゴリズムが離陸・着陸・ドッグファイト(空中戦)などを、17時間にわたって制御、飛行しました。この「アインシュタイン・ボックス」は2019年に地上のシミュレーターで、F-16のパイロット(操縦時間2000時間を超える米海軍のトップガン卒業と同等のベテラン)相手のドッグファイトで5-0で圧勝する実績を収めていました。AI(アインシュタイン・ボックス)はベテランパイロットの操縦手順や訓練ルールを順守する習性を学習し、瞬時の意思決定で相手のベテランパイロットの「穴」をつき、ドッグファイトに打ち勝ったたのです。

【AIプログラムについて】
離陸・着陸・ドッグファイト(空中戦)を制御したAIプログラムはACE(Air Combat Evolution)と呼ばれ、パイロットが戦闘機を操縦して戦闘する際の課題を解決するために開発されたものです。パイロットはAIを信頼し、コクピット内でより複雑な「戦闘管理タスク」に専念、「視覚距離内のドッグファイト」はAIが戦闘機をコントロールします。このAIによる戦闘機の操縦は、2022年12月にカリフォルニア州エドワーズ空軍基地のテストパイロットスクール(TPS)で行われました。飛行時間は17時間で、さまざまな出発条件、模擬敵、模擬武力能力でAIのアルゴリズムをテストしました。(AI の高度な自律機能を実証するだけでなく、テストベッド(実際の使用環境に近いプラットフォーム)で検証することができました)

【今後パイロットに求められる能力】
第5世代と言われるF-35戦闘機(日本の航空自衛隊にも配備済み)では、パイロットが操縦する戦闘機のレーダーやセンサー情報だけでなく、データリンク機能によって、他の味方の飛行機のレーダーやセンサー情報、その他味方が持っている情報を統合化して表示することができます。
これだけパイロットが得る情報量が多くなると、パイロットは単に戦闘機の操縦をこなすだけでなく、その情報を瞬時に取捨選択したり、それに基づいたより高度な作戦を行うことが求められるようになります。つまりこれからのパイロットは、トップガンマーベリックのトム・クルーズの様なドッグファイト時の操縦能力よりも、戦闘情報の処理能力が重視されるようになります。米国防総省が進めているAI機による戦闘機操縦技術の開発は、航空戦におけるパイロットの資質や技量の変化を見すえたものであり、AIとパイロットそれぞれの特徴と強みを活かした「新しい航空戦」を目指しているのです。

【AI戦闘機の開発はどのように進むのか】
各国の軍が開発を進めている無人機(UAV)の技術レベルは有人機に随伴する無人機を可能とする段階まできていますが、単独での運用となると偵察型が主流となっています。無人機の中にはミサイル発射が可能なものもありますが、発射の判断は地上にいる人間が、発射命令を下すようになっています。米国防総省は、今年度中に複数回のテスト飛行を予定、その試行錯誤の中で、将来の戦闘機は「有人」「無人」あるいは「有人と無人の共存」のいずれがベストなのか、「有人と無人の共存の場合の役割分担は」、という論議が交わされることになっています。

【AIと人間はどのように協業するのか】
前回、GitHubが2022年6月にリリースしたAIによるコーディングサポート機能(GitHub Copilot)についてご紹介をしました。プログラマーがこれから書こうとするコードをAIが予測、開発者はAIが書いたソースコードをたたき台に、必要があればプログラマーが手直しするだけでコーディングを完了できる、まさに「AIとのペアプログラミング」を可能とするツールです。今回ご紹介をした「アインシュタイン・ボックス」も、AIとパイロットが、どのように役割分担をすれば、「新しい航空戦」でベストの結果を出すことができるのかが、最大のポイントとなります。今後AIテクノロジーの更なる進化により、人間がすべき役割分担の内容は、どんどん高度化することが予想されますが、常に人間がすべきことは何なのかを強く意識し、日々の能力アップに努めなければ、生き残ることが難しくなってきていると言えるのではないでしょうか。