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<<2023年4月1日から施行される新制度に注目!>>

2023-04-03
法律改正により、4月1日の新年度から様々な分野で新制度がスタートします。今回は、その中からいくつかピックアップし、今後の影響を考えてみます。まず、確認ですが、2023年に改正法施行がおこなわれる、あるいは予定されている主な法律は下記のとおりです。

・労働基準法(2023年4月1日施行)
・育児・介護休業法(2023年4月1日施行)
・民法(2023年4月1日施行)
・不動産登記法(2023年4月1日施行)
・相続土地国庫帰属法(2023年4月27日施行)
・食品表示基準(2023年4月1日施行)
・個人情報保護法(2023年4月1日施行)
・道路交通法(2023年4月1日施行)
・消費者契約法(2023年6月1日施行)
・消費者裁判手続特例法(2023年6月1日までに施行)
・電気通信事業法(2023年6月17日までに施行)
・消費税法(2023年10月1日施行)
以上

今回は上記の改正法の中から、次の3つを取り上げます。
(1)育児・介護休業法(2023年4月1日施行)
(2)不動産登記法(2023年4月1日施行)
(3)道路交通法(2023年4月1日施行)

【育児・介護休業法】
では、まず最初に「(1)育児・介護休業法」を取り上げます。同法は、4月1日施行の改正育児・介護休業法で、男性向けの産休といえる「産後パパ育休」が創設されました。
ポイントは、子の出生後8週間以内に、最長4週間を2回まで分割して取得できる点です。子の誕生から原則1歳になるまで取得できる従来の育児休業とは別枠とすることで、出産直後の大変な時期に取りやすくしました。

<今後の影響>
2023年1月31日付で「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正が施行され、有価証券報告書や有価証券届出書において「コーポレートガバナンスに関する開示」に関する記載欄が新設されました。
いくつかの上場企業は、改正育児・介護休業法の施行を見越して、男性の育児参加を進めるべく支援策をすでに打ち出しており、今後は、有報に、「男性の産休取得率」を表示して、自社の「働き方改革」等をPRする企業が増えると予想されます。
それにともなう環境整備(長期休暇に伴う代替人材の育成等)の必要性も徐々に高まると思われます。また、「当社は男性の産休取得率が高い」とアピールできれば、若い世代の人材獲得にも有利に働くと思われます。

【不動産登記法】
次は、(2)不動産登記法(2023年4月1日施行)を取り上げます。

今回、同法の改正では、所有者が不明な土地・建物の円滑な利用に主眼が置かれており、新設された所有者不明土地等管理制度や所在等不明共有者の持分取得・譲渡制度等、今回整備された様々な手段を適切に活用することで、所有者不明土地を利用できる可能性が格段に広がりました。
不明土地等は公共事業を進める場合の用地取得や民間取引の妨げとなっており、人口減少や高齢化で今後さらに増加する懸念が高まっています。不明土地等の利活用としては、再エネ発電所や防災用倉庫などが想定されています。

<今後の影響>
同法の改正により、裁判所の許可を得られれば、所有者不明土地等を円滑に売却できるようになったので、土地の再利用が促進され、新たな住宅・施設等の開発が促進されると予想されます。

【道路交通法】
最後に、「(3)道路交通法」を取り上げます。

4月1日に、一定条件下で運転を完全に自動化する「レベル4」の公道走行が解禁されました。導入が想定されるのは地域住民らの足となる無人運転バスです。
福井県の永平寺町、茨城県境町など、高齢化が進んでいる過疎地で無人運転バスの実証実験が進んでいましたが、道路が狭い日本での安全走行には精密な技術が求められコスト高になりやすく、今回の法改正で規制が緩和されても、政府が掲げる「2025年度までに50か所」の達成はハードルが高そうです。

<今後の影響>
各地における自動運転の実証実験のノウハウ共有と導入のコストダウンが進めば、過疎地での導入が進むと予想されます。コストダウンについては、レベル4対応の車両の開発コストの低減のほか、運行管理センターでスタッフが複数の車両を遠隔監視できるようになるなどがポイントとして挙げられます。また、中長期的には、無人運転バスのみならず、物流向けの無人配送車の活用も広がると予想されます。

(さいごに)
マクロ環境の変化(法律の改正等)は、多くの企業に影響を与えます。特に法律改正については、強制力が強く働くため、対応しない企業は事業リスクを抱える一方で、法律改正の動きをキャッチし、公布を踏まえて事前に準備を進めてきた企業は、法律施行に合わせて、いち早くスタートを切ることができます。

今回は、3つの改正法を取り上げましたが、自分の仕事に影響がありそうな改正法の中身をチェックして今後の影響を考察することをお勧めします。仮説を立てた際には、その仮説が現実の進展と一致しているかを確認するために一定の時間が必要です。仮説の立案能力を向上させるために、一定期間が経過した後に仮説を振り返って検証してみましょう。


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