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投稿記事

<<「サーキュラーエコノミー」とは>>

2023-10-24
モノの再利用や長期間使用を実現するのが、「サーキュラーエコノミー」という考え方です。
サーキュラーエコノミーが求められる背景 
サーキュラーエコノミーが求められる背景として、以下グローバルの経済社会の変化があります。
    世界的な人口増加・経済成長・消費拡大による将来的な資源制約
(世界の人口)2022年:80億人 → 2050年:97億人
(世界の資源採掘量)2015年:880億トン → 2050年:1,830億トン
    国内外の廃棄物問題の顕在化
(世界の廃棄物量)2020年:141.2 億トン → 2050年:320.4億トン
    地球温暖化、海洋プラスチックごみ問題等の環境問題の深刻化
(世界の平均気温)工業化前と比べて、2011年~2020年で1.09℃上昇
(海洋プラスチックごみ)2050年には 「海洋中のプラスチック量 > 魚の量」 との推計
    生物多様性の損失
脊椎動物の個体群が地球全体で、1970年~2018年の間に平均69%減少
    人権問題(児童労働)
児童労働に従事する5~17歳の子どもは、2020年時点で約1億6,000万人(世界の子どもの10人に1人近くに相当)

サーキュラーエコノミーが求められる背景には、「環境(Environment)」「社会(Society)」「経済(Economy)」の好循環を生み出し、「サステナブル(持続可能)な社会」を実現することにより、「Well-Being(幸福)の実現」 と「Planetary boundaries(地球の限界)」を超えない活動の維持を、同時に達成することが求められているのです。



【サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは】
サーキュラーエコノミーとは、循環型の経済システムで、廃棄物をなくし、資源を循環させ、自然への負荷を低減して、再生するための仕組みです。英国を拠点とする「エレン・マッカーサー財団」は、国際的にサーキュラーエコノミーを推進している団体ですが、サーキュラーエコノミーの3原則を定義しています。

    廃棄物や汚染をなくす
    製品・素材を(最も価値の高い状態で)循環させる
    自然を再生する

サーキュラーエコノミーにおいては、モノやサービスを「生み出す時」、「消費する時」、「廃棄する時」の環境負荷を事前に考慮、可能な限り新しい資源の利用を抑え、地球上の資源を循環させるための設計を前提とします。新しい製品に次々に乗り換え、古いものをごみとして廃棄する仕組みは歓迎されなくなり、メンテナンスや修理を通じて長く使えることが製品の価値となるのです。

今後サーキュラーエコノミーの関連市場は、世界全体で2030年に4.5兆ドル(約495兆)、2050年で25兆ドル(約2,750兆円)と予想されています。(日本国内では2030年に80兆円)

出典:「基礎からわかる サーキュラーエコノミーガイドBOOK」2023 JEMS Inc.

【リサイクルとの違い】
日本の環境政策である「3R」(Reduce/Reuse/Recycle)に含まれているリサイクルは、製品のライフサイクルにおける使用後の「廃棄物」をどのようにして再利用するかという課題解決策ですが、サーキュラーエコノミーは、「廃棄物」の発生そのものを防ぐような製品のライフサイクルを考えることが前提で、そうしたライフサイクルを社会規模、地球規模で実現することによって、循環型経済システムを確立します。この循環型経済システムを構築することは、新しい経済の仕組み、それに付随する新しい産業、そして企業におけるビジネスモデルなど、複数の要素が関連することで実現されるため、国家レベルでの意思決定が必要となります。既に欧州ではサーキュラーエコノミーは経済政策の優先事項とされていて、国家的な戦略が構築されつつあります。

出典:https://www.rd.ntt/se/media/article/0066.html

【BMW、廃車由来の再生材を新車に利用するプロジェクトを発表】
2023年4月20日、ドイツ自動車大手のBMWが、廃車から素材を回収し、新車に再利用するプロジェクトのコンソーシアムを主導すると発表しました。(本プロジェクトはBMWが主導、ミュンヘン工科大学、ヘルムホルツ研究所などの研究機関、ショルツ・リサイクリングなどのリサイクル企業、ティッセンクルップなどの鉄鋼・アルミニウム関連企業などが参画、連邦経済・気候保護省が640万ユーロの助成を行います。単一企業の力で解決することが難しいサーキュラーエコノミーの課題に対し、多角的かつ効果的にアプローチすることにチャレンジングするのです)

プロジェクト「Car2Car」では、BMWの廃車500台を活用します。回収の対象はアルミニウム、鉄鋼、ガラス、銅、プラスチック等で、廃車はBMWグループの小型車ミニから、最高級車のロールスロイスまでのさまざまなモデルで、パワートレインも内燃機関搭載車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)まで用意します。同プロジェクトでは、廃車からの再生材の品質と純度を高めることが課題で、新車に活用できる再生材の量を増やすと同時に、リサイクル作業に必要なコストを抑えることを目指します。そのために、これまで人手に頼る部分が多かった解体プロセスをロボット技術で一部または高度に自動化するとともに、破砕後のプロセスでは、光学技術とAIを活用したリサイクル可能な素材の認識、分別システムを導入します。

BMWは1994年から自動車メーカーとして唯一、自社のリサイクル・解体センター所有、ミュンヘン近郊の同センターでは年間最大1万台の廃車を処理しています。BMWはここから得た知見を同社だけでなくリサイクル産業全体で共有して、新車の再生材の使用比率を現状の約3割から5割まで高めることを目標に掲げています。

「Car2Car」プロジェクトのポイント
    エコデザイン設計
新車生産に使用する素材を廃棄車両から回収、製品ライフサイクル全体を考慮に入れた設計。
    リソースの効率的使用
廃棄車両から再生材料を効率的に回収し、新車製造に再利用することでリソースを効率的に使用。
    ビジネスモデルの革新
単一企業だけでは解決できないサーキュラーエコノミーにおける課題に対処するた
め、新しい協力関係やビジネスモデルを探求。

出典:https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/04/8f17a61de07ecdba.html
出典:「基礎からわかる サーキュラーエコノミーガイドBOOK」2023 JEMS Inc.