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<<Open AI Sam Altman氏の解任、復職の背景にあるもの>>

2023-11-22
対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を開発した米Open AIは11月21日、最高経営責任者(CEO)を解任されたSam Altman(サム・アルトマン)氏の復帰を決めたと発表しましたが、解任、復職の背景にあるものについて考えてみたいと思います。

OpenAI,Inc.は「AI技術を高め、人類に貢献し、よりよい世界としていくこと」を目的として2015年に設立された非営利の研究組織でした。
(創立当初、テスラを率いているElon Musk(イーロン・マスク)氏が関わっていましたが、2018年2月にはOpen AIを辞任)

しかしながら、AIの開発費用がかさむにつれ、マイクロソフト社の出資受け入れのた2019年に、子会社の営利企業を設立(OpenAI Global, LLC)、結果として「人類への利益の還元」という公益性の高い理念を掲げる非営利部門(OpenAI,Inc.)が、営利企業(OpenAI Global, LLC)に間接的に出資し支配するという二重構造となっています。(マイクロソフト社はOpenAI Global, LLC社へ49%出資していますが、取締役会の席や管理権はありません)
Open AIのStructure
  • OpenAIの理事会は、OpenAIの共同設立者でCEOを解任され復職したSam Altman(サム・アルトマン)氏と、Greg Brockman(グレッグ・ブロックマン)氏 (会長兼社長)、 チーフ・サイエンティストであるIlya Sutskever(イリヤ・スッツケバー)氏、独立理事であるQuora CEOのAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏、テクノロジー起業家のTasha McCauley(ターシャ・マコーリー)氏、ジョージタウン大学のSecurity and Emerging TechnologyセンターのHelen Toner(ヘレン・トナー)氏の6名から構成されていました。
  • AIが完成した際は、AIを営利法人や他社にライセンス提供はしない規約があり、AI実現前の人工知能のみを営利法人に提供することとなっています。
  • 持ち株会社の子会社としてOpenAI Global, LLCがあり、49%をマイクロソフト社が保有、この営利法人の利益の再分配には上限が設定されていて、上限を超えた分は非営利法人のOpenAI, Inc.のものとなります。
  • 持ち株会社(OpenAI GP LLC)が営利法人(OpenAI Global, LLC)を支配しています。
  • 非営利法人(OpenAI, Inc.)は、OpenAI GP LLCを完全所有しています。
  • 持ち株会社(OpenAI GP LLC)の株式の一部を外部の投資家と従業員が保有、解任されたSam Altman氏は、Yコンビネータ経由で出資していて、個人名義では出資していません。

Open AIが2222年11月にチャットGPTを公開すると、世は生成AIブームとなり、営利を重視し普及を急ぐSam Altman(サム・アルトマン)氏の路線と、安全性を重視する取締役会(理事会)との間に生まれた溝が今回の混乱の原因になったとされています。冒頭に説明した様に、背反する二重構造を抱えるOpen AIは、今後も引き続き企業統治の問題を抱え続けることになるのでしょうか?
新たな理事会はセールスフォース元共同CEOのブレット・テイラー氏、ラリー・サマーズ元米財務長官、米クォーラCEOのアダム・ディアンジェロ氏とアルトマン氏で構成されテイラー氏が会長に就くということです。

出典
https://openai.com/our-structure
https://www.cloud-for-all.com/azure/blog/what-is-open-ai
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL20ACW0Q3A121C2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21E880R21C23A1000000/