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<<中国で何故、経済政策などについて話し合う党の重要会議「中央委員会第3回全体会議(3中全会)」が開催されないのか>>

2023-11-30
中国共産党が党大会の翌年、経済政策などについて話し合う党の重要会議「中央委員会第3回全体会議(3中全会)」の日程が、今年11月末になっても公表されない異例の事態となっています。この「3中全会」は、7名の政治局常務委員、17名の政治局委員、約200名の中央委員、約170名の中央委員候補が北京に集合する大会議で、「党の最高指導機関」と位置づけられています。

世界の誰がみても深刻な状況にある中国経済なのに、経済政策を話し合う重要会議が開けない理由の一つに、2013年11月9日に開幕した「第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)」で決めた重要事項が、実現できていないという事実と関係している可能性があります。そしてこの10年前の「第18期3中全会」の方向性をけん引したひとりが、最近亡くなった前首相の李克強でした。※1「第18期3中全会」後に公表された決定事項には「資源配分では市場に決定的な役割を担わせる」という画期的な表現があり、「中央政府の管理を減らす構造改革」「民間経済、民間企業の育成」に重点を置き、より大きな方向性として示されたのが、長く非効率性が問題となっていた「国有企業の改革推進」でした。※2

しかし国有企業の改革推進の掛け声倒れは、2016年の国有鉄鋼大手の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団という2大巨大鉄鋼会社の経営統合でも明らかであり、「供給側改革」の名目の元進められた統合の結果はさらなる供給過剰を生みだしたのです。経済政策の司令塔である李克強首相は、「スリムで健康体の国有企業を」という発言でも判るように、3中全会で決めた国有企業改革にこだわっていましたが、習近平総書記が「国有企業をより大きく」と強行した政策は、淘汰されるべき「ゾンビ企業」の生き残りにつながる一方、民間IT企業大手であるアリババ集団への「いじめ」とさえいえる政策となりました。有り体に言えば「中国共産党が全会一致で決めた経済面の決定事項が、まったく実行されず、意味をなさなかった」という厳然とした事実だけが残ったのです。そして今、大手不動産開発企業である「恒大集団」※3,4「碧桂園」などが経営危機に陥り、民間複合企業である「中植企業集団」も債務超過に陥っています。中国社会を大きく揺るがす経済問題に対処する抜本策が見当たらず、3中全会の開催時期の決定が極めて難しい状況となっているのです。


※1参考資料:李克強氏が死去 不遇の秀才、未完の「リコノミクス」:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK273430X21C23A0000000/
※2参考資料:習近平体制下で進む「国進民退」が生み出すものは何か:
https://fieplearning.com/pages/54/detail=1/b_id=288/r_id=52#block288-52
※3参考資料:中国恒大集団が米国で破産法の適用を申請:
https://fieplearning.com/pages/54/detail=1/b_id=288/r_id=49/block288_limit=20#block288-49
※4参考資料:中国、建材市場に人影なく 不動産関連「20年で最悪」:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM132LO0T11C23A1000000/